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在ケニア日本国大使館は、エリトリアセーシェルソマリアを兼轄しています。

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JKUAT NISSIN FOODS LTD 荒殿美香(平成25年度一次隊)

店頭の様子。商品におまけの弁当箱を付ける販促プロモーションを実施しています。

【氏名】荒殿 美香
 
【職歴】大学卒業後、教科書の出版社で営業として勤務。その後NGOでのインターンを経て、2013年7月より青年海外協力隊(コミュニティ開発)としてケニアで活動。隊員活動満了後、2015年9月より日清ケニアのマーケティング管理者として再びケニアの地で勤務。
 
1.       青年海外協力隊時の活動について
2013年7月から2年間、ケニアのナクル郡ナイバシャ県農務官事務所にて「コミュニティ開発員」として勤務していました。農務官事務所の主な仕事は地域農民の農業技術教育・訓練で、私は食品加工・保存方法及び家庭菜園普及を主な任務としていました。

私が暮らしていたナイバシャという街は、標高1,800~1,900mの高地であり、かつ年間降雨量が700~750mmという半乾燥地帯に位置しています。そのため、乾季になると水不足や野菜の価格高騰などが発生し、特に自家栽培の野菜や家畜に頼って生活をしている農家の人々の暮らしを脅かします。また逆に、雨季になると一斉に同じ野菜を栽培するため、多くの野菜が売れ残ってしまいます。こういった気候に大きく左右される農家の方々の厳しい状況を改善するため、乾燥野菜・フルーツの作り方や、余った野菜やフルーツを使ってジャムやピクルスに加工する方法を普及させました。また、栄養バランスの取れた食生活を目的として、例えば、Amaranths (terere)や black night shade(managu)といったケニアの伝統野菜を対象とした家庭菜園の普及では、ケニア初の家庭菜園コンテストを開催するなど、いかにケニア人に興味・関心を持ってもらい、積極的に参加してもらえるかを常に意識していました。これらの活動の結果、多くの農家から「新しい技術・知識を学び生活が楽になった」「家庭菜園で余った野菜を売って生活費の足しにしている」といった声をもらうことができました。

2年間コミュニティに入って現地の人たちの声に耳を傾けて活動をする中で、まだまだケニアには発掘すべき可能性がたくさんあると感じました。そしてケニアでの経験を活かし、ビジネスを通じて彼らの生活を良くする仕事に就きたいと考えるようになりました。
 
2.       日清ケニアでの仕事について
協力隊員時代の思いを実現するため私はケニアに戻ってくる決意をし、日清ケニア(JKUAT NISSIN FOODS LTD.)で働き始めました。日清ケニアは、日本が長年ODAで支援してきたジョモケニヤッタ農工大学との合弁企業です。ケニアに新しい食文化を届けること、食のおいしさを伝えることをビジョンに2013年に事業を開始しました。日清ケニアでは、ケニア人の好みに合わせて開発したインスタント麺を30KSH(日本円で約35円)で販売しています。私の仕事は、麺文化のないケニアで日清のインスタント麺を新しい食文化として受け入れてもらうこと、言わば新しい文化を土着の文化に融合させるための施策を考えることです。協力隊時代に培った現場感覚と言語(スワヒリ語)を駆使して、できるだけ現場に足を運び、現場の意見をくみ取りながら販売につなげていくことを常に心がけています。

協力隊時代の経験は、今の仕事でも、特に消費者やケニア人スタッフなどの現地の方々と関わり合う際にとても役に立っています。例えばケニア人にスワヒリ語で話しかけるととても喜んでくれ、警戒心を解いてくれるので、より意見を引き出しやすくなります。また、彼らと日常生活を共にしてきたことから得た生活感や肌感覚は、現場でどう判断・行動すべきかを決定するときに重宝します。協力隊時代に奔走した2年間が今では私の強みになっているのだと強い実感があります。

最近では、小学校向けに日清麺の給食用販売を開始しました。ケニアでは公立学校であっても定められた給食制度はなく、各学校の財政状況により給食の有無が左右されます。また給食の献立も、伝統的な豆の煮込みやとうもろこしの粉を練ったウガリなど、毎日同じような料理を出す学校がほとんどです。日清麺を子どもたちの給食に取り入れてもらうことで、多くの子どもたちに、毎日の給食を楽しみにする感覚や、食のよろこびを届けたいと考えながら日々仕事をしています。まだ開始したばかりの事業ですが、この事業を通じ、ケニア全土の子どもたちに食のよろこびを届けることを目標にこれからも頑張ります。
 
3.       今後のビジョン
私のケニアでの目標は、ひとつはより多くの人に日清ケニア(または私たち)の商品のおいしさを伝え、食のよろこびを届けることです。新しい食文化を創造することは一筋縄ではいきませんが、現場の意見を大事にする姿勢を忘れずに、彼らにとって価値のある存在で居続けたいと考えます。

もうひとつは、私たちの事業を通じて、ケニアの未来を担う人材を育てていくことです。現在日清ケニアでは約40名の正社員を雇用しています。その他契約社員を含めると100名以上の社員と共に働いています。日本人駐在員は私を含め3名です。日本人にとってもケニア式が非常識なことが多いように、おそらくケニア人の中にも、日本的なビジネス方式に戸惑う人も多いと思います。しかし、時間と締め切りにとても厳しい姿勢や、毎日時間を無駄にしないように効率的に動く姿勢など、日本人の働く姿勢にはケニアの人々に見習ってほしいところがたくさんあります。逆に日本人にも、ケニア人の仕事より家庭を大事にする風習など見習うべきところはあります。そういったお互いの良いところや悪いところを互いに尊重し合い、時には融合させていきながら、会社もスタッフも相互成長できる関係を作っていきたいと感じます。環境も言葉も全く異なる社会で育ってきたケニアの人々と共に働くことは決して容易ではありませんが、そういう状況も時には楽しみつつ、粘り強く良い関係を築いていきたいと思います。  
 

写真

第1回家庭菜園コンテスト(表彰式)で新しい技術を学ぶ近隣住民たち。

第2回家庭菜園コンテスト参加者。

家庭菜園建設中に農民たちとひと休憩。

学校給食で日清麺を喜んで食べる子どもたち。

給食で日清麺を食べるのを順番待ちしている子どもたちと。