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ルオ族の人々

青年海外協力隊 藤田 綾子さん

アフリカ最大の湖・ビクトリア湖にほど近いアヘロという小さな町で、私は協力隊員として活動をしている。アヘロとは現地の言葉・ルオ語で「I love」という意味を持つ。ナイロビからバスで7時間、稲作が盛んで日本のような田園風景が広がっており、長閑だが、活気のある町である。
 
町の名前がルオ語でついているように、この地域はケニアに40以上ある部族の中でも3番目に人口が多いと言われている、ルオ族が多い。私はケニアに住んだ2年間をルオ族の人たちとともに暮らし、彼らが守っている独特の伝統や文化を身近に感じてきた。一口に「ルオ族」と言っても人それぞれいろんな特徴があるが、私の体験や感じたことを通じて彼らについて簡単に紹介したいと思う。

協力隊員として活動中の藤田さん

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☆言語
ケニアの国語はスワヒリ語、公用語は英語であるが、ルオ族はスワヒリ語が苦手で英語が得意と言われている。スワヒリ語とルオ語は語源が異なり、文法も異なることが理由であるという。ナイロビや他の地域では私がスワヒリ語で挨拶をするととても喜んでくれるが、アヘロ周辺の人には頑なに英語を使い、スワヒリ語を話さない人も多い。

☆人柄
ルオ族はとても明るくて陽気で、話好きである。町を歩いていると必ず何人にも呼び止められ、「どこへ行く?」「何を買う?」とか、時には初対面にも関わらず「結婚してほしい!」と言われることも・・・。野菜ひとつを買うにも「調子はどうだ?」「今日は何を食べるんだ?」など、挨拶に数分を要する。急いでいるときには面倒と感じてしまうが、「急いでるから!」という言い訳は、ここケニアではなかなか通じない。

ルオ族の子供たち

☆名前の由来
生まれた時期・時間帯によって、また性別によって名前が付けられる。女子はA、男子はOで始まる場合が多く、夜生まれた女の子はAtieno(アティエノ)、男の子だとOtieno(オティエノ)、夕方生まれた女の子ならAdhiambo(アドビアンボ)、男の子ならOdhiambo(オディヒアンボ)といった具合である。ルオ族は血のつながりや出自をとても大切にするので、○○の娘、どこから来た○○という言い方もされる。

ちなみに私の名前Ayako(あやこ)もルオ族の名前に存在する。「力づくで奪い取る人」という意味で、男女関係なく名前が付けられるようだが、私がこれまでに会った「あやこ」は男性の方が多かった。

☆食べ物
ビクトリア湖の周辺に住む人々だけあって、魚を好んで食べる。ティラピア、ナイルパーチと言った大きな魚から、オメナという小魚まで・・・他の部族には魚を気持ち悪がって食べないという人も多いらしい。日本人も魚をよく食べると話すことがあるが、タコやイカを食べるというと、決まってみんな悲鳴を上げる。

魚売り市場

また、ルオ族のお母さんはケニアの主食であるウガリ(メイズの粉をお湯で練ったそばがき状の食べ物)を作るのが非常にうまいと言われている。私もアヘロに来てからウガリを好んで食べるようになった。お湯にメイズ粉を入れて練る、という単純な作業なのだが、粉を入れるタイミングや練る力などにコツがあるようで、自分ではうまく作れない。食べたいときは近所の夕食にお邪魔するのが一番の方法である。

ウガリとティラピア料理

☆一夫多妻制について
アフリカと言えば一夫多妻のイメージを持っている人も多いと思うが、このルオ族にもその習慣がある。財力のある男性は、可能な限り女性を養う義務を持っているとのこと。と言っても現在は段々と減ってきてはいるようだが、田舎の村に行くと、同じ敷地内に第1夫人、第2夫人の家を見かけることがある。

また結婚には新郎が新婦の家に牛を送る習慣がある。最近は牛そのものを送るよりもお金を渡すことの方が多いようだが、その際にも牛1頭の値段を基準にして計算するらしい。私も時々「俺の第3夫人にならないか?」と言われることがあるが、「牛50頭が必要だ」というと、みんな黙ってしまう。

☆ルオ族の伝統音楽
ケニア人は子供から大人までみんな音楽が大好き。ルオ族の伝統音楽はOhangla(オハングラ)と呼ばれ、太鼓などの打楽器をメインにしたリズム音楽である。近所の小学校ではクラブの時間にオハングラを教えている。どんな子供でも楽器を持つと抜群のリズム感覚で叩き始める。楽譜はないが、みんな頭に入っているらしい。ちなみに楽器を演奏するのは伝統的には男子に限られているという。

オハングラを演奏する小学生