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ボランティア活動報告―シアヤから広める女性の価値

青年海外協力隊、早川夏歩(村落開発普及員)

(セカンダリー学校を訪問しての布ナプキン手作り教室)

ナイロビからバスで西に向かうこと9時間、ここシアヤでは青い空と緑の大地、爽やかな風に吹かれながら鍬で畑を耕す人々、そんな景色がどこまでも続くのどかな町です。私の配属先は地元の女性と若者たちによって運営されているコミュニティ支援団体、「シアヤ女性と青年のためのネットワーク(SWYND)」です。彼らが行っているプロジェクトのうち、設立されたばかりのユース・リソースセンター(診療所内にある若者を対象とした情報センター)を中心に活動しています。ここはカウンセリングや情報提供を行うことで、健康面を始めとした若者の生活の質の向上を目的としています。
 
「この付近の学校の女子生徒たちは生理期間は学校に通わないんだ。生理用ナプキンを買えないからだ。」
 
赴任して間もないある日、同僚が教えてくれました。診療所を訪れる若い女性たちを対象にアンケート調査を行ったところ、学校に通っていたころ市販の使い捨て生理用ナプキンを使用していたと答えた女性は4割ほど。他は端切れを使用していた、学校を休んで家にいたなどの答えでした。また多くの女性たちが学校を離れた現在も、同じような対処方法で過ごしていることがわかりました。町や村の店で市販の生理用ナプキン(1袋8枚入り)は50kshから100ksh程度ですが、村の店の豆を煮たスープは10ksh、自転車タクシー20kshなどと比べると村の人々の生活にとって決して安くはありません。また、買い物への道のりも遠く、簡単に手に入らない現状です。市販の生理用ナプキンを支給するにしても、資金の問題やゴミの問題、なにより解決策が他人頼みになってしまいます。課題を抱えている彼女らが自らでき、継続して行えるよい対処案がないか、そう考えていたところ、以前友人が布ナプキンについて教えてくれたことを思い出しました。
 
調べてみると、タオルなどの生地を使って手作りできる布ナプキンもあることがわかり、自分で作ってみました。布ナプキンは使用後も洗ってまた使うことができる。いい案のように思えましたが、いくつか疑問点もありました。
1つは、村の女性たちはこのアイデアを受け入れてくれるかということ、
2つめは、布ナプキンをつくる材料は村や町で手に入るのかということ、
3つめは、村の人々が使う川や井戸の水で清潔に洗えるのかということでした。

しばらくは村のマーケットをまわって材料探しをしたり、作り方の工夫をしたり、頭は布ナプキンのことでいっぱいでした。女性たちの洋裁教室を訪問し意見を聞いたり、産婦人科の医師の先生から助言をいただいたりして、疑問点を解消することができました。結論としては、手作り布ナプキンは村の女性たちにも好評、材料も町で手に入り、正しい情報を理解して使用し、管理すれば、衛生面も安全ということでした。さっそくユースリソースセンターで布ナプキン手作り教室を始めました。しかし訪問者はごく少数。一週間に一人~二人といったところでした。それでも一緒にちくちくと針作業をしていると、その中で彼らの生活のことを教えてくれたり、悩みを打ち明けてくれたりと、訪問者一人ひとりとゆっくり話をする時間となりました。

(ユースリソースセンターの日常風景)

赴任して1年と4カ月が過ぎようとしている現在、少しずつですが普及効果が見え始めています。口コミでコミュニティーグループへの出張教室の依頼が来たり、学校への出張教室も始まりました。ケニアで活動している他の協力隊員も、それぞれの地域で普及しているそうです。また、診療所へ来所される人々から、この布ナプキンは販売しないのかということも聞かれるようになりました。実はこの村の若者の抱える問題の一つに就職難があります。布ナプキンがビジネスとして成り立てば、私の任期終了後も布ナプキン製作が持続的に広がっていくという期待があります。今後は村の若い女性たちと一緒に布ナプキン収入向上活動に取り組んでいく
予定です。
 
布ナプキン手作り教室の際に使用管理方法と一緒に必ず伝えていることがあります。
「生理は女性にとっての重荷じゃないよ、特別な価値なんだから」
 
※本記事の内容は早川氏の個人的な見解であり、日本国外務省及び国際協力機構(JICA)の見解を反映しているものではありません。