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在ケニア日本国大使館は、エリトリアセーシェルソマリアを兼轄しています。

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ケニアの無収水対策の現状と課題

漏水探知技術の実施講習

Non-Revenue Water Management、日本でいう無収水対策は、今、ケニアの水道業界で最も関心が高い課題の一つです。昨年5月の着任以来、職場内に対策ユニットを立ち上げ、スタッフの能力開発、日本の技術・実績紹介、ケニアにおける成功例の分析、セミナーの開催、流量測定調査・漏水調査の実地講習を行ってきました。

私の配属先、タナ水サービス公社(Tana Water Services Board)は水供給会社(Water Services Provider)27社を傘下に持つアセット・デベロッパーであり、それぞれの水供給会社が単独で進めることが難しい水源開発や拡張事業を支援することを主な業務としています。また、水供給会社からの月例報告をとりまとめ水灌漑省へ報告する監督官庁のような性格も併せ持っています。

管轄範囲はセントラル州とイースタン州に跨る約6,000平方キロメートルにおよぶケニア山周辺の起伏に富んだ高原地帯です。この地域は赤道直下で、比較的水源に恵まれた地域であり、ケニア山国立公園とアバデア国立公園からは良質の原水が一年を通じて取水可能です。しかし乾燥地域に近づけば乾季には水源の川の水量が減り、水道管の中が空になることもしばしば起こると聞いています。

アバディア国立公園にて超音波流量計を設置して取水量を測定する

この1年間、管轄区域の水供給会社を訪問し、無収水対策の必要性を説くことから始まり、各社が抱える課題について懇談してきました。その中で見えてきたいくつかの問題点には次のようなものがあります。

ケニアでは2002年に水道事業の民営化が始まり、それまでの政府直轄の経営体質の改善や不正・汚職の根絶を目指していますが、現行のスタッフは政府系の経験者が多く、改革は遅々として進んでいないのが現状です。また、データや図面類の管理が杜撰であることと、使えるデータが揃っていないとして、推測した値を報告することが日常的に行われており、ケニアにおける無収水率の高さ(昨年一年間の平均無収水率:68%)は、必ずしも漏水等による実際の損失水量の多さを現していないことがわかりました。政治的・資金的・技術的な問題が山積すると問題解決に挑戦することをあきらめてしまう傾向が強い状況の中で、私たちタナ水サービス公社と一緒に一つ一つ実態を明らかにしていくことを呼びかけ、最近では水供給会社の側から流量測定調査と漏水探知の実地講習の依頼や問い合わせがあり、少しずつではありますが、ケニア人技術者の意識改革が進みつつある手ごたえを感じています。

音聴棒を利用して水道メーターから漏水の手がかりを探る

※本記事の内容は関元氏の個人的な見解であり、日本国外務省及び国際協力機構(JICA)の見解を反映しているものではありません。