セーシェル共和国は、在ケニア日本国大使館が管轄しています。





海賊と疑われる者の引渡し等に関する覚書署名式における
寺田大使スピーチ
(於:海上自衛隊護衛艦「たかなみ」)

 

ジョエル・モルガン内務・運輸大臣閣下、
クリフォード・ロゼリン・セーシェル人民防衛軍参謀、
ご来賓の皆様、
紳士淑女の皆様、

 

おはようございます。

 

駐セーシェル・日本大使として、海賊と疑われる者の引渡し等に関する覚書への署名を行うことが出来ることは大変な光栄であります。この度は、素晴らしい署名式典の準備に携わった海上自衛隊及びセーシェル政府の関係者の皆様に改めて感謝の意を述べさせていただきます。今般覚書への署名を我が国の海上自衛隊艦船上で行えることは、インド洋地域における海洋の安全を確保するため我が国及びセーシェル共和国が海賊対処に真剣に取り組む意志を持っていることを象徴していると考えます。

 

 署名式典に参加されている全ての関係者の皆様に今次覚書の署名の意義について確認していただくため、海賊対処分野における日・セーシェルの協力関係の歴史について簡単に説明させていただきます。2009年、ソマリア沖アデン湾における海賊事案の発生件数が急激な伸びを見せ、アジア、アフリカ及びヨーロッパを繋ぐ海上運輸航路に対する大きな脅威となりました。航行の安全確保は、国際社会全体の繁栄に不可欠なものであることに疑いありませんが、海上交易に大きく依存する島嶼国にとってはなお一層重要であり、日本とセーシェルが海賊対処行動に関連して協力することは自然なことでありました。

 

 こうした観点から、我が国は海賊行為を違法化し、日本の海上自衛隊の艦船が船籍を問わず全ての国の船舶を海賊行為から防護することを可能とする法律を施行いたしました。2009年以来、海上自衛隊は、2隻の護衛艦を護衛任務のため派遣し、600以上の任務を通じて3600隻以上の船舶を護衛してきました。同様にジブチに拠点を置く2機のP3-C哨戒機は1200以上の航空任務を完遂いたしました。

 

 他方、海賊から船舶を守ることは海賊対処に係る究極的な解決策にはなり得ません。2013年のTICADVの際にも明らかにされたように、海賊を撲滅するためには包括的な解決策が不可欠であり、海賊行為を犯した人々を訴追するメカニズムが必要です。海賊の脅威に対峙するためには多面的な対処法が必要との共通理解の下、我が国はセーシェル政府との間で一定の条件の満たす場合に海賊と疑われる者を日本側からセーシェル側に引き渡す手順を定めた覚書署名に係る交渉を始めました。過去3年間に亘り、本覚書の署名に係る調整作業を進めた日本及びセーシェル双方の関係者の多大なる努力に敬意を表します。本覚書は、海賊からインド洋地域の安全を確保する上での日本とセーシェルの共同の決意とも言えます。

最後になりますが、我が国はセーシェル政府と緊密に連携しつつ、海賊を撲滅するとの究極的な目的の下、引き続き海賊対処行動に従事していくことを申し上げます。自分(寺田大使)は、この度の海賊と疑われる者の引渡し等に関する覚書への署名は右目的の達成に向け、一歩近づいたことを示す証左と考えます。最後に、本日が日・セーシェルの協力関係を更に強化する基盤となることを期待しつつ、自分からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 



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