ソマリア連邦共和国は、在ケニア日本国大使館が管轄しています。
対ソマリア連邦共和国 国別援助方針
2014年4月
1. 援助の意義
ソマリア連邦共和国は,20年以上にわたる紛争・無政府状態,更には度重なる自然災害(干ばつ等)を経験し,国内の経済・社会インフラが崩壊し,国民全体が非常に脆弱な状態に置かれている。2012年8月に暫定政府が終了した後,新政府が樹立され,同国は現在国家の再建段階にある。同国が,主権・領土の一体性を維持しつつ平和で安定した国家として再建されることは,東アフリカ地域の平和と安定及びアデン湾等周辺海域における海賊対策の観点から極めて重要である。
また,脆弱国家における平和の構築に貢献することは,我が国のODA大綱に定めた重点課題である。さらに,人間の安全保障の観点からも,長引く紛争・無政府状態の中で国家による保護が十分でない社会的弱者に対して「平和の配当」を示していくことは重要な取組である。特に,ソマリア人口の70%は30歳未満の若年層が占めると言われる中,海賊や反政府武装集団等に生活の糧を求める若者に対し,雇用の機会を創出し,国の健全な成長を促すことが急務となっている。
我が国は,これまでソマリアに対する人道支援や海賊対処の取組に進んで参画してきた。今般,ソマリアの新たな状況を受け,2013年2月に新政府を承認したのに続き,二国間援助の再開も決定したところ,今後とも国際社会の一員としてソマリア再建に相応の貢献をしていくことが重要である。
2. 援助の基本方針(大目標):国家再建に向けた平和の定着と経済社会安定化支援
新政権が優先事項とする6項目(①国の安定,②経済復興,③国民和解,④行政サービス提供,⑤協力的国際関係及び⑥国土の統一)の実現を後押しし,特に,基礎的社会サービスの回復,新政府の治安維持能力向上及び国内産業の活性化を支援する。
3. 重点分野(中目標)
(1) 基礎的社会サービスの回復
長年の紛争で疲弊した保健,教育,水といった基礎的社会サービスを回復するため,中央及び地方政府(プントランド及びソマリランドを含む)の能力向上を図りつつ,施設整備を含む支援を行い,特に女性や国内避難民等の社会的弱者の経済社会状況を改善する。
(2) 治安維持能力の向上
ソマリアの平和と安定に向け,海賊対策も含め,当該地域の治安を確保することは全ての活動の基礎となる。新政府が治安分野における責務を十分果たせるよう,ソマリア中南部を中心に警察及び海上保安組織の能力強化等を行っていく。
(3) 国内産業の活性化
ソマリア国民の自発性を喚起し,人口の大半を占める若年層の参画を得て,サービス業,漁業等の国内産業の活性化の端緒を支援する。この際,長年紛争下に置かれ,かつ無政府状態の中で社会秩序から逸脱した若者の更正や社会への再統合に十分に配慮する。
4. 留意事項
(1)ソマリアの治安情勢は改善傾向にあり,新政府が反政府勢力から支配を回復する地域が増加しているが,依然として,特に中南部において予断を許さない状況にある。現在の治安状況が続く限り,国連・国際機関を通じた支援を中心としつつ,二国間支援は我が国援助関係者が現地入りしない本邦,第三国研修事業等に限って実施することが必要。また,現地活動で優位性のある他ドナーや,長年海外でスキルを身につけ,現地コミュニティに溶け込みやすいソマリア人ディアスポラとの協力を検討する。
(2)ソマリアは多氏族国家であり国内に多様な集団を抱えているため,我が国の支援に際しては地域・氏族バランスなどに配慮する必要がある。
(3)脆弱国家に対するニュー・ディール1の推進等に関し,ソマリア連邦政府主導の下,各ドナー・支援実施機関の間の援助協調の動きが本格化している。こうした議論の中で我が国の援助方針を積極的に発信していくことが肝要。
(了)
別紙: 事業展開計画
- 平和構築と国家建設のための国際対話の枠組みとして,2012年11月に「援助効果向上に関するハイレベル・フォーラム4」にて承認された。