マチャコス郡及びマクエニ郡の給水施設(第二次地方給水計画)の完成式

平成25年5月31日
ワクフング環境長官が見守る中、給水施設の鍵が、高田大使からマクエニ郡副知事に手渡されました。
給水弁を開け、深井戸からくみ上げられた水が出てくる様子を見守る3人。
2013年5月31日、マクエニ郡ムブニ村落において、日本のODAによって整備した給水施設の完成式典が行われ、日本政府を代表して高田大使が出席し、地元の住民とともに給水施設の完成を祝いました。
 
この第二次地方給水計画においては、恒常的な水不足に悩まされているマチャコス郡及びマクエニ郡の、安全で安定した水へのアクセスがなかった58の村落に、1本ずつの井戸を設置しました。採水可能量から判断すると、一日あたり12万人分の水を提供することが可能となり、多くの村民が簡単に水をくめるようになりました。
 
式典への道中、一見すると砂や砂利がたまっているようにしか見えない川に、女性や子供がロバを連れたり自転車をおしたりして水くみに来ている姿をよく目にしました。ケニアの農村において、水くみは女性や子供の仕事とされています。村落から遠く離れた水場まで歩き、一つあたり20キロもある重たいジェリー缶を担いで戻ってこなければなりません。途中で事故や犯罪に遭うなど、農村部の水問題は、人間の安全保障の問題でもあります。
 
マクエニ郡の副知事は女性です。彼女は、挨拶の中で、式典に参加している多くの女性に語りかけながら、「給水施設により、女性は別のことに時間を使え、子供たちは学校に行くことができる。日本は、給水施設の整備を通じて、マクエニに女性の力や時間を返してくれた。」として、日本に対する感謝の意を表しました。
 
ワクフング環境・水・天然資源省長官は、「水へのアクセスはケニアの新憲法に保障された人権のひとつであるが、これは、無料で水にアクセスできるという意味ではない。今回日本が整備してくれた給水施設を使い続けるためには、利用者の応分の負担が必要である」として、地元の住民に対して責任ある水の利用を求めました。
 
今回整備した井戸は、すべて深井戸と呼ばれ、地下の岩盤の奥深くに閉じ込められた水を電気や風力を利用してくみ上げるタイプの井戸です。58の給水施設のうち7つが太陽光パネルを電源としており、1つは風の力によって水をくみ上げるものです。これらは運用コストを最小限にするための方法として選ばれました。地元住民の適切な維持管理によって、今回整備した施設が、まさに井戸端会議の場として、長く愛され、使い続けられることを願います。
 
完成式典には、ケニア側からは、ワクフング環境・水・天然資源省長官が出席した他、2名の地元選出の国会議員、マクエニ郡の副知事が参加し、日本側からは高田大使の他、江口JICAナイロビ事務所長や、整備を請け負った日本工営や利根エンジニアリングの方々が参加しました。本プロジェクトの成功に関わったすべての方々にお礼を申し上げます。
式典にあつまった多くの地元の住民たちに、給水施設の維持管理の大切さなどを訴える高田大使。
記念植樹をおこなうワクフング環境長官。
記念植樹を行う高田大使。
地下100mの深さから水をくみ上げるための風車。マクエニの新しいランドマークになることを期待します。