ダグラス・M・ワキウリ氏への叙勲伝達式

令和3年6月11日
2021年6月11日、堀江良一大使夫妻は、ダグラス・M・ワキウリ氏への叙勲伝達式を、大使公邸にて行いました。伝達式には、アミナ・モハメド・スポーツ・文化・遺産長官、ジャクソン・トゥウェイ・ケニア陸上連盟会長、及びフランシス・ムトゥク・ケニアオリンピック協会事務局長他が出席しました。伝達式は、ケニア政府による防疫措置に沿って、小規模に執り行われました。
 今回ワキウリ氏に贈られた勲章は、「旭日双光章」で、これは同氏のスポーツ・文化部門における日・ケニア関係の発展への貢献を認める勲章です。本勲章は、本年4月29日に、天皇陛下の御名前の下、ワキウリ氏に授与され、今回、堀江大使が日本政府を代表して同氏に伝達するものです。
 
ワキウリ氏は、日本に陸上留学した史上初めてのケニア人です。同氏は、19歳の時に来日し、昭和58年にはヱスビー食品陸上部に入部、全国実業団駅伝にて、初めてケニア人として日本の実業団のために走り、大きな注目を集めました。日本人コーチの指導の下で、世界レベルのマラソンランナーとなった同氏は、昭和63年のソウルオリンピックにて、ケニア人として初めて男子マラソン銀メダルを獲得するなど、世界的に大きな功績を残しました。ワキウリ氏の実業団駅伝での勇姿及びその後の世界的な活躍を受け、来日した外国人選手が、日本の大学陸上部や実業団にて日本人選手と共に訓練を積み、お互いに切磋琢磨するという、今日ではしばしば見られる光景が実現するようになりました。この先駆けであったワキウリ氏による、日本のマラソン業界振興への貢献は多大なものです。
 
また、現役時代の日本のスポーツ業界への貢献にとどまらず、ワキウリ氏は、アスリート引退後も、積極的に日ケニア文化交流の振興に携わっています。同氏は、2011年の東日本大震災直後に在ケニア日本国大使館を訪問し、「日本で育ててもらったことを感謝しており、このような時にこそアフリカから日本へ応援のメッセージを贈りたい」として、震災に苦しむ日本国民に対し哀悼及び激励の言葉を贈り、これは多くに日本人を勇気づけました。また、在ケニア日本国大使館の広報文化事業へも、長年積極的に参加・協力しています。特に、同氏のイニシアチブによって、日本の企業・学校等の団体が支援する「ナイロビ・ソトコトマラソン」が平成21年に創設され、以来、コロナ禍で開催が適わなかった過去2年を除き、年1回の同マラソン大会にワキウリ氏は実行委員として毎年運営に関わっており、日ケニア二国間関係をスポーツ分野から推進する様々な活動に従事しています。
 
伝達式では、堀江大使より、ワキウリ氏に勲章・勲記を手交し、心からの御祝いの言葉を述べると共に、同氏のこれまでの功績を紹介し、二国間関係深化のための長きにわたる貢献に感謝の意を表しました。また、堀江大使は、流暢な日本語を操るワキウリ氏による、日本語や日本の文化を取り入れた歌手としての活動に触れ、同氏の活動は、まさに日本とケニアをつなぐ架け橋であると述べました。
 
これを受け、ワキウリ氏は、天皇陛下、日本政府、堀江大使、そして日本国民に対する深い感謝を述べ、「今回の勲章受章は、日本の皆様から、『これからも、人生というレースを、責任を持って走り続けていくように』という人生の『たすき』を受け取ったのだと理解しています。この名誉ある勲章は私だけに贈られたのではなく、これまで私を応援してきてくださった全ての皆様に対して贈られた勲章であると考えています。今回、このような名誉をいただき、日本の皆様に心から感謝します」と述べました。
 
式典後、堀江大使夫妻からワキウリ氏にお祝いの曲として、スワヒリ語、英語、日本語の曲を演奏し、ワキウリ氏はお返しとして、日本語を交えた歌を披露しました。