大使ご挨拶

令和7年11月6日


ケニア国防軍食肉委員会事務局長 ジャッタンニ・カンパレ・グラ少将、
各国大使、ケニア国防軍、各国駐在武官を始めとするご来賓の皆様、
    こんにちは。
 
    本日はお忙しい中、自衛隊記念日レセプションにお集まりいただき誠にありがとうございます。グラ少将をはじめ、大変多くの方々にご出席いただき、心より感謝申し上げます。
 
    さて、第二次世界大戦終結80周年という節目の年に、皆様を自衛隊記念日レセプションにお迎えできることを大変嬉しく思います。この戦後80年間、日本は平和を愛する国家としての道を歩み、世界の平和と繁栄に貢献してまいりました。その間、私たちは苦い経験から得た歴史の教訓を常に心に刻み続けてまいりました。
    日本はこの歩みを決して変えることはありません。そのことの論理的帰結として、 自衛隊は憲法に基づく専守防衛という基本原則を常に堅持するとともに、日本の緊急援助チーム、人道支援・災害救援、国連平和維持活動などを通じて、平和と安定に貢献してまいりました。
    アフリカにおいては、自衛隊はモザンビーク及び南スーダンにおける国連平和維持活動に加え、ルワンダ及び西アフリカにおける緊急支援活動に従事してきました。2009年以降はソマリア沖及びアデン湾に護衛艦や航空機を派遣し、海賊対処活動に従事しております。
 
皆様、
    ケニアでは、日本は2008年から国際平和支援訓練センターを支援しております。日本は、ケニア及び東アフリカが直面する安全保障上の課題を理解しており、センターの実施するそれらの課題解決を目指すプログラム、とりわけ紛争予防、女性・平和・安全保障(WPS)、海洋安全保障に関する研修などを支援しております。
    本年は、日本の主導により創設された支援枠組みである国連三角パートナーシップの10周年を迎えました。この夏、同センターの人道平和支援学校において、陸上自衛隊は、とりわけ重機操作訓練の提供を通じ、アフリカにおける平和維持活動(PKO)展開の促進に役割を果たしました。この支援は、これまでの支援を継続するものです。日本は国連三角パートナーシップを通じた支援を今後も継続する予定です。
 
    日本は、地域安定の「アンカー」としてのケニアの大きな役割を高く評価しております。ケニアはこれまでに極めて多くの外交・平和支援に資源を投入して、長期にわたり地域の安定に関与してきており、かつ今日に至るまで地域の平和と安全のため、数多くの顕著な成果を上げてこられました。我々は、このケニアの長期的な関与を賞賛いたします。現在、ケニアの貢献はスーダン、南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリア、ハイチなど、数多くの地域で続行中です。日本は、ケニアの安定化に向けた取り組みを止むことなく賞賛し続けるとともに、ケニアと協力することを常に志していくでしょう。
 
    日本、ケニア、その他多くの国々がその維持に懸命の努力を払っているにもかかわらず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は、世界各地で前例のない課題に直面しております。今こそ、これらの課題に対処するため、日本とケニアのパートナーシップを強化すべき時であります。日本は、「自由で開かれたインド太平洋」の推進を通じて、ケニアと協力し、インド太平洋地域の平和、安定、繁栄を推進していきたいと考えています。日本は、両国間の「防衛協力・交流に関する意図表明文書」という枠組みを重視しております。ルト大統領と当時の岸田首相は、昨年の大統領の訪日中に合意し、これに署名しました。この枠組みのもと、本年3月には、海上自衛隊の「ぶんご」、「えたじま」がモンバサに寄港しました。これは、陸と海という二つの領域にわたる、両国の防衛交流・協力にとって重要な機会となりました。これは始まりに過ぎず、今後もさらに多くの交流が行われると期待しております。この協力関係をさらに強化し、地域の平和と安定に貢献できることを楽しみにしております。
 
皆様、
    我が自衛隊は、ケニアをはじめ世界各国の皆様との友情と連帯の絆を深めるため、現在もまた今後も、引き続き門戸を開いてまいります。なぜなら、これこそが日本が世界の平和と安定を推進する道だからです。ご列席の皆様に、このことをご理解いただくようお願いするとともに、ここに集まった私たちが友情と連帯をさらに強める喜びと楽しみを見出すことを願って、ご挨拶とさせていただきます。

 

2025年11月6日
特命全権大使
松浦 博司

おすすめ情報