大使ご挨拶

去る本年5月茂木外務大臣がケニアを訪問しました。茂木大臣は、ナイロビで開催した世界政策・戦略センター(GLOCEPS)と当館共催の講演会において、全アフリカに向け進化した「自由で開かれたなインド・太平洋(FOIP)」につき講演し、国際政治の激変の中でインド・太平洋地域の平和と繁栄を国際協力により効果的に確保するため、自律性と強靱性により重点を置いた協力を呼びかけました。2016年に故安倍総理がここナイロビで初めてFOIPを提唱したひそみにならい、進化版FOIPの重要なパートナーとしてアフリカを位置づけるメッセージを発信しました。またルト大統領表敬、ムダヴァディ内閣筆頭長官兼外務長官との会談において、今後の日ケニア協力につき大局的な観点から深い議論を行い、ハイレベルにおける意思疎通として大きな成果を上げました。
また今9月には高円宮久子妃殿下がケニアを訪問されました。高円宮妃殿下は、鳥類保護団体バードライフ・インターナショナルの名誉総裁として、同団体世界パートナー会合に出席し、国境を越えて移動する鳥類の保護のためには国際協力が不可欠であるとの観点から、所属するパートナー団体の気持ちを一つにまとめました。妃殿下は国連環境計画(UNEP)において講演し、その中で人と鳥が調和の中で共に生活できる条件を確保することが、人の生活の持続可能性にとりいかに重要か説き、気候変動を始めとするより広い環境問題についても自然との調和なくして人の生活の持続は確保できないことを話されました。さらにルト大統領表敬、植林関係者とのご懇談、在留日本人社会とのご懇談、ケニア人日本関係者とのご懇談等を通じ、広く日ケニア関係増進、日国連関係増進に携わられました。
一昨年、昨年と二年連続で実現したルト大統領の訪日に引き続き、本年日本から2件の高いレベルでのケニア訪問が実現したことは、両国関係の緊密化が双方向の相互交流により進んでいる現実を反映するものであり、誠に喜ばしいことです。茂木大臣は4度目のケニア訪問、外務大臣として2度目のケニア訪問です。高円宮妃殿下は3度目のケニア訪問、妃殿下として2度目のケニア訪問です。お二人のケニアに対する親愛の情が溢れたこの数字に、2件の訪問の意義が集約されていると思います。2023年岸田総理のケニア訪問から始まる4年連続の相互訪問の過程を通じ、二国間関係は一層強固になり、また一層の弾みを得ました。
また茂木大臣の講演、妃殿下の講演とも、全アフリカや全世界へのメッセージ発信の場として日本がケニアを選んだという意義があります。日本の、ケニアに対する国際場裡におけるパートナーとしての信頼と期待を明らかにする事実と言えるでしょう。
このように高いレベルで確認され、高められた協力の精神を実地に移す仕事が私たちを待っています。引き続き皆様と手を携えながら、それぞれの分野でこの仕事を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
2026年9月30日
特命全権大使
松浦 博司