草の根・人間の安全保障無償資金協力 (「カリマニ・アースダム修復計画」に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力の起工式典)
平成27年11月10日
タイトル | 「カリマニ・アースダム修復計画」に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力の起工式典 |
日付 | 2015年11月10日 |
場所 | キトゥイ郡 マティニャニ県 マティニャニ地区 カリマニ区 |
案件名 | カリマニ・アースダム修復計画 |
供与金額 | 101,159 米ドル (11,127,490円) |
出席者 |
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概要 |
2015年9月に在ケニア日本大使館において贈与契約の署名式を行った「カリマニ・アースダム修復計画」の起工式典がキトゥイ郡マティニャニ県において行われ、寺田大使が出席しました。本計画では、堤防が決壊して利用できなくなった既存のダムの修復工事を行い、人と家畜用の給水設備を建設します。また、水質保全を目的として、ダム周辺には人や動物の立ち入りを禁止するためのフェンスを設置し、1,000本の苗木の植栽を行います。 被供与団体である「ケニア緑化への一歩」は、1993年から活動を開始し、2014年にNGO登録を受けています。本NGOは、キトゥイ郡、マクエニ郡、カジアド郡、バリンゴ郡において公衆衛生、保健、教育、地域開発、環境保護等の活動を行っている団体です。 カリマニ・アースダムは、1980年代に機械を使わず人の手で作り上げた原始的なダムであり、堤防を作る際に土を十分に圧縮することができず、堤防の構造が脆いつくりでした。その影響で、2005年頃にアースダムの堤防が決壊し、雨季に十分な水を貯水することができなくなり、住民は水汲みに近くの河川へ毎日往復約10kmの距離を歩いていましたが、その河川も干上がっており、河川周辺に穴を掘ってわずかな水を汲み上げている状況でした。また、ダムの堤防が決壊する以前から、浚渫土砂のダムへの流入があるほか、家畜の糞によって水質が汚染されており、水関連の疾病(例:アメーバ性細菌、腸チフス等)に罹りやすくなっていました。 本案件を実施することにより、カリマニ地区の住民約5,000人と家畜約1,200頭への利水状況が改善され、安定的に安全な上水供給が実現する見込みです。 式典当日、寺田大使はキトゥイ郡政長官を表敬訪問し、日本政府の対ケニア援助方針の重点分野(環境保全、農業開発、保健・医療、経済インフラ整備、人材育成)について説明し、水案件である「カリマニ・アースダム修復計画」は、そのうち環境保全、農業開発、保健・医療の3つの分野にまたがる協力であることを伝えました。 また、式典会場に向かう道中、寺田大使は、幹線道路に設置されたサインボードの除幕式を被供与団体代表者のムルワ氏とともに行いました。 式典が始まると、地域住民から日本政府に対して感謝の意が述べられるとともに、地域住民によるカンバ族の伝統的な踊りが披露されました。 寺田大使からは、数百件の応募の中から本案件が選ばれたことへの祝辞が述べられました。また、日本はこれまでキトゥイ郡と30年以上の長い協力関係を構築しており、現在でもJICAとケニア森林研究所(KEFRI)による『気候変動への適応のための乾燥地耐性育種プロジェクト』がキトゥイ郡で実施されていることが紹介されました。育種を進めている精英樹のメリアは通常の苗木よりも早く成長し、約半年で平均して約2mにまで成長します。 また、式典当日も、日本のJICA本部とJICAケニア事務所によるREDD+プロジェクト(森林現象・劣化による排出削減及び持続可能な森林経営等の森林保全活動を通じた森林の炭素吸収機能の維持・強化の活動)の調査がキトゥイ郡内で行われており、同プロジェクトメンバーであるJICAの古川美晴企画調査員が式典に出席され、寺田大使のスピーチの中でREDD+の活動とともに紹介されました。また、キトゥイ郡のケニア森林公社(KFS)で活動しているJICAの青年海外協力隊員である金清百広隊員も地域住民の前で寺田大使によって紹介され、日本は特定案件の実施に限らず、草の根レベルで活動する人材も派遣していることを説明しました。 そして、第六回TICAD(アフリカ開発会議)が、来年初めて日本を離れ、アフリカの地・ケニア/ナイロビで開催されることに言及し、TICADが日本とアフリカの関係を更に強固にする歴史的な意義を持つことを述べました。 スピーチの結びの言葉として、地方自治体関係者、被供与団体、地域住民が三位一体となって本プロジェクトを成功へと導いていくことを期待している旨、伝えました。 |